研究と報告
てんかん専門治療施設における外来患者の診断について—1985年の国際分類案を用いて
著者:
小林一弘1
川口浩司1
大原健士郎1
鈴木節夫2
森川建基2
八木和一2
清野昌一2
所属機関:
1浜松医科大学精神神経科
2静岡東病院
ページ範囲:P.483 - P.488
抄録 昭和63年6月1日から11月30日の6カ月間に,国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)を受診した男性210名,女性144名,合計354名のうち,てんかんならびにてんかん症候群(疑いを含む)と診断されたものは男性193名,女性127名の合計320名であった。これらを対象として,1985年の新国際分類案で分類したところ,症候性局所関連性てんかんおよび症候群が164例(51.3%),症候性全般てんかんおよび症候群が46例(144%),特発性全般てんかんおよび症候群が37例(11.6%),特発性または症候性全般てんかんおよび症候群が23例(7.2%)であった。しかし,診断が確定しなかった症例が,118例(36.9%)あった。その要因は,局所関連性てんかんおよび症候群では脳波所見と臨床症状が共に明確でない症例が26例(556%)と多く,特発性もしくは症候性の全般てんかんおよびてんかん症候群では脳波所見が明確でない症例が10例(100%)と多かった。てんかん疑いとしか分類できない症例は,20例(6.3%)ときわめて少なかった。1985年の新国際分類案はてんかんの治療予後を考える上で有用であると考えられた。