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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻5号

1990年05月発行

文献概要

研究と報告

Haloperidolが原因と考えられる赤芽球癆

著者: 西松央一12 溝渕睦彦1 藤本直1

所属機関: 1愛媛大学医学部神経精神医学教室 2愛媛県立今治病院精神科

ページ範囲:P.511 - P.514

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 抄録 薬剤性赤芽球癆の起因薬剤として抗精神病薬の報告はない。我々は抗精神病薬使用中に生じた赤芽球癆を経験したので,報告する。
 25歳男性で精神分裂病の治療中,顆粒球,血小板は正常に推移していたにもかかわらず,正球性正色素性の貧血が生じた。しかも,末梢血の網状赤血球は0‰で,貧血に対して骨髄での反応がないことが推察された。骨髄穿刺は行わなかったが,その臨床像から赤芽球癆と診断された。投与薬物との関連を検討したところ,haloperidol,chlorpromazine,levomepromazineの併用中に貧血は生じたが,chlorpromazine,levomepromazineの中止によっても貧血は改善せず,haloperidolの中止によってようやく網状赤血球が著明な増加を示し,赤芽球系の造血が亢進し貧血が改善した。haloperidolの再投与は行わなかったが,経過から本症例の赤芽球癆の原因薬剤はhaloperidolと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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