icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻5号

1990年05月発行

研究と報告

ドイツにおける分裂感情病の最近の研究(1)—非症候学的特徴

著者: 坂元薫2

所属機関: 1ボン大学精神科 2東京女子医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.527 - P.534

文献概要

 抄録 72例の分裂感情病患者の長期経過について検討した。分裂病性症状と感情病性症状が同時に存在するか,あるいは交代して出現するものを分裂感情病と定義した。本論文では主にこれらの患者の病前の諸特徴について報告する。男女比は1:1.8であり,25歳から35歳の間に発病することが最も多かった。全症例の61%は発病時に既婚であった。また比較的高度の学歴と職業レベルを有するものが多かった。分裂感情病に特徴的な病前性格類型はみられなかったが,双極性のものに強力性人格が,そして単極性のものにはメランコリー親和型が多い傾向があった。病前の対人的接触性は大部分の患者(81%)で良好であった。誘発因子が頻繁(76%)に認められた。分裂感情病患者の68%は精神疾患の遺伝負因を有しており,特に家系内に感情病がみられることが多かった。以上検討した分裂感情病の非症候学的特徴はいずれも精神分裂病よりも感情病に類似したものであることが示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら