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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻5号

1990年05月発行

短報

Triazolam投与期間に一致して約3カ月間の躁状態を呈した1老人例

著者: 宮岡等1 矢吹篤1 荻野孝徳2 渥美義仁3 浅井昌弘4

所属機関: 1東京都済生会中央病院精神神経科 2東京都済生会中央病院精神内科 3宮内庁病院 4慶應義塾大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.543 - P.545

文献概要

I.はじめに
 Benzodiazepine系睡眠導入剤であるtriazolamは,血中濃度半減期が短く翌朝への影響が少ないため,精神科領域のみならず,一般診療科においても広く用いられている。Benzodiazepine系薬剤投与中には,種々の精神症状を呈しうることが知られているが,triazolamにおいても前向性健忘を主とする記憶障害,錯乱,神経過敏,気分高揚,抑うつなどが報告されている。
 今回我々は,triazolam 0.25mgを投与開始して5日目頃より躁状態となり,約3カ月間の投与期間中,持続して躁状態を呈した老人例を経験したので報告する。Triazolam投与翌朝に一過性の気分高揚感を認める症例は少なくないが,我々が知る限り,長期間躁状態が持続したとする報告はない。本例はtriazolamの適応,投与方法,特に身体合併症の多い老人への投与を検討するための一助になると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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