文献詳細
文献概要
特集 精神分裂病の生物学的研究
精神分裂病のマーカーとしての眼球運動
著者: 小島卓也1 松島英介1 太田克也1 中島一憲1 大林滋1
所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.583 - P.590
文献購入ページに移動日常の臨床場面において,分裂病者が冷たく突き放すような視線や何かに脅えているような眼差しを示し,医師がその視線の異常を感じることは極めて多い。立津23)は分裂病者に最も特徴的なのは目を中心とした顔の表情の変化が乏しいことであると述べており,表情や視線の動きが分裂病者の精神内界をよく反映するだけでなく,その生物学的特徴を表していることを示唆した。筆者らはこの視線の動きを客観的に把握し,分裂病の特徴を抽出しようと研究を重ねてきた1,8〜15,17,19,22)。
本論文では,幾何学図形(S字型図形)を呈示している際の注視点の動き,すなわち視線の動きが分裂病の特徴をどの程度反映しているか,分裂病のマーカーとなり得るかについて述べたい。
掲載誌情報