文献詳細
文献概要
特集 精神分裂病の生物学的研究
分裂病の病態理解への精神生理学的接近—利点・現況と期待
著者: 丹羽真一1
所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.591 - P.596
文献購入ページに移動I.はじめに
松江(本号)8)および小島(本号)5)は分裂病の視覚的情報処理の際の眼球運動の特徴から分裂病の認知・行動機能の問題点を抽出して報告した。その際,松江は動的脳機構という意味でより生理学的な側面を述べ,小島は能動的行動という意味でより心理学的な側面を述べていると考えられ,両報告を総合すると多角的に分裂病の情報処理の問題点を捉える視点が提供されている。この動的脳機構という生理学的側面と能動的行動という心理学的側面の両面を持つことが,精神生理学的接近の持つ特徴であると考えられる。私は松江・小島の両論文を踏まえて「分裂病の病態理解への精神生理学的接近」について討論するように求められているので,以下に精神生理学的研究について総論的に述べるつもりであるが,まず分裂病への精神生理学的接近の利点と目標についてふれたい。
松江(本号)8)および小島(本号)5)は分裂病の視覚的情報処理の際の眼球運動の特徴から分裂病の認知・行動機能の問題点を抽出して報告した。その際,松江は動的脳機構という意味でより生理学的な側面を述べ,小島は能動的行動という意味でより心理学的な側面を述べていると考えられ,両報告を総合すると多角的に分裂病の情報処理の問題点を捉える視点が提供されている。この動的脳機構という生理学的側面と能動的行動という心理学的側面の両面を持つことが,精神生理学的接近の持つ特徴であると考えられる。私は松江・小島の両論文を踏まえて「分裂病の病態理解への精神生理学的接近」について討論するように求められているので,以下に精神生理学的研究について総論的に述べるつもりであるが,まず分裂病への精神生理学的接近の利点と目標についてふれたい。
掲載誌情報