icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻6号

1990年06月発行

「精神医学」への手紙

『精神医学』32巻1号掲載の短報「インターフェロン脳症の1症例」について

著者: 土井永史1 安藤貴紀1 高橋正2 一宮洋介2 飯塚禮二2 秋元勇治3

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2順天堂大学医学部精神医学教室 3式場病院

ページ範囲:P.676 - P.677

文献概要

●Letter
 「インターフエロン脳症」との断定は適切か
 症例の精神症状とインターフェロン(IFN)との関連をいう前に,なお検討すべき事項があるように思われます。つまり,精神症状は左腎摘除術後に生じたわけですから,BUN,creatinine,アンモニア,電解質,血液ガスの所見の検討は必須です。これらの所見に異常はなかったのでしょうか? 髄液所見についても,圧,細胞数,糖,蛋白は具体的に記載すべきです。また,頸部強直,運動・知覚障害などの神経症状はなかったのでしょうか?
 次に,精神症状の変化とIFN投与との時間的関係についての疑問点をいくつか。まず,抑うつ症状は,IFN投与後に増強した可能性があるとはいえ,既にIFN投与前から認められたわけです。したがって,IFN投与後に著明となった症状は,脳波所見に裏づけられるような意識障害だったと考えられます。しかし,その意識障害は,IFN中止後酸素と抗生剤の投与により一旦改善し,その後IFNが投与されていないにもかかわらず再び悪化しています。このことは,むしろIFNの脳への直接的作用以外の要因が本症例の意識障害の原因であった可能性を示唆しているのではないでしょうか? 意識障害と臨床検査所見,すなわち体温,血液ガス,ならびに白血球数,CRP,ESRなどの所見との間に時間的平行関係はなかったでしょうか?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら