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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

覚醒剤精神病の事象関連電位P300成分

著者: 岩波明1 須賀一郎1 山田寛1 高橋和巳1 中谷陽二2 加藤伸勝1

所属機関: 1東京都立松沢病院 2東京都精神医学総合研究所

ページ範囲:P.719 - P.725

 抄録 覚醒剤精神病の精神生理学的特徴を検討するため,22例の覚醒剤精神病患者を対象に聴覚刺激により事象関連電位(Event-related Potentials)を記録,精神分裂病患者,健常者の所見と比較した。この結果,①反応時間は分裂病患者において健常者より延長していたが,覚醒剤精神病患者と健常者の間に差はなかった。②P300の潜時は患者群で延長していた。③P300の振幅は分裂病患者において健常者より減衰し,覚醒剤精神病患者に比べ減衰する傾向を示した。また覚醒剤精神病患者は健常者に比べ減衰する傾向を示した。④P300の面積は分裂病患者と健常者の間に差がみられたが,覚醒剤精神病患者と健常者の間に差はなかった。以上から覚醒剤精神病は精神分裂病ほど深い認知の障害を示さないことが示唆され,またこの結果は両疾患の鑑別点として指摘されている対人的態度や現実検討能力の相違を反映していると推測した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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