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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻7号

1990年07月発行

文献概要

研究と報告

短縮した月経周期に伴って周期性に反復するうつ病の1例

著者: 内富庸介1 山脇成人12 矢野栄一1 岡嶋詳二1 寺川信夫13 北野博子1

所属機関: 1国立呉病院精神科 2現広島大学医学部神経精神医学教室 3現上野病院

ページ範囲:P.735 - P.740

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 抄録 精神運動抑制と睡眠障害を主病像とする約10日間のうつ病相を,短縮した月経周期に併せて周期性に反復する症例を経験したので時間生物学的観点から検討した。基礎体温の測定結果から,病相は月経周期の高温相から低温相にかけて存在した。特徴的な臨床所見として病相が終結する前後に必ず一昼夜覚醒もしくはそれに近い状態が存在し,それに伴い急激に病相が改善されたことなどである。睡眠障害は病相に関係なく存在し,それは入眠困難と睡眠相の遅れを特徴とする睡眠相遅延症候群に類似していた。病前性格として依存性,無力性人格の傾向が認められたが,それほど顕著なものでなかった。治療として,抗うつ薬にリチウム,カルバマゼピンの併用を試みて,病相発現に対して軽度の改善が認められた。以上のことから本症例の病因には内分泌の変化や概日リズムの障害が関与していた可能性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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