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研究と報告
ドイツにおける分裂感情病の最近の研究(2)—経過と転帰
著者: 坂元薫2
所属機関: 1ボン大学精神科 2東京女子医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.741 - P.748
文献購入ページに移動 抄録 72例の分裂感情病患者の長期経過と転帰に関するケルン研究の結果を報告した。分裂感情病は再発性であり多病相性の経過をとることが多い。エピソード数は双極性,多型性経過をとるほうが単極性,単一性経過のものより多かった。周期の長さは平均37.5カ月で,周期を繰り返すにしたがって短期化する傾向がある。また双極性のもののほうが周期は短い。初回エピソードの3分2は分裂感情病性エピソードであった。また大部分の症例(87%)が分裂感情病性エピソード優位の経過を示した。症例の65%では少なくとも1回は自殺傾向がみられた。10年以上経過後,半数の患者は完全寛解しており,高度の欠陥状態にある患者はごく少数であった。双極性患者は単極性患者よりも有意に“精神病の非活動性期間”が長かった。またリチウムの維持療法を受けているものは,精神病の非活動性期間が長かった。転帰に関しては分裂感情病は精神分裂病と感情病の中間の位置を占めることが示された。
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