文献詳細
「精神医学」への手紙
Letter—常用量のcloxazolamを漸減中に離脱症状を呈した1例
著者: 寺尾岳1 吉村玲児1
所属機関: 1産業医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.797 - P.797
文献概要
症例は現在34歳の男性です。昭和58年頃より頭がボーツとなり時に頭重感も出現しておりました。昭和60年3月当院神経内科を受診しましたが神経学的に異常なく脳波も正常範囲で,症状に対しbromazepamとsulpirideが処方されております。同年12月に感冒罹患後,不眠,食欲低下,意欲低下が新たに出現し,昭和61年1月20日当科を受診しました。抑うつ状態に対し種々の抗うつ剤とBZDが処方されましたが,同年5月からamitriptyline 50mg/日とcloxazolam 4mg/日(一時期sulpirideの併用あり)となっております。平成1年3月3日から著者らの一人が主治医となりました。精神症状が安定しているため,同年6月28日にcloxazolamを2錠から1錠へ(1錠中2mg含む)自分で減らしてみるように指示すると特に問題なく減らせました。平成2年2月28日に更に減らすよう(半錠か中止)に指示したところ同日は半錠服用し以後中止したとのことです。その結果,同夜から3月2日まで不眠(3月2日は一睡もできず),3月1日から2日まで嘔気,3月5日から10日まで手指振戦(このため,ねじ回しがうまく使えず仕事がやりにくかった),3月9日に幻聴(聞こえるはずのないラッパの音が聞こえた)が生じたと訴えました。3月14日来院時には意識清明で神経学的に特に異常を認めませんでした。
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