文献詳細
特集 精神疾患の現代的病像をめぐって
文献概要
1.はじめに
古典的ヒステリーの減少が精神科医の間で語られるようになって久しい6)。最近では失立,失歩などの典型的な転換症状をみるのはごく稀になり,いわゆる大ヒステリーは臨床の場から姿を消し,忘れられたかのような存在になった。しかし,実際にヒステリーは減少したのだろうか? Kraepelin8)はヒステリー現象の本質はその変わりやすさであると断言しているが,今日の文化的状況の中でヒステリーが姿を変え,今なお精神科の臨床的問題になり続けている可能性は十分にある。
古典的ヒステリーの減少が精神科医の間で語られるようになって久しい6)。最近では失立,失歩などの典型的な転換症状をみるのはごく稀になり,いわゆる大ヒステリーは臨床の場から姿を消し,忘れられたかのような存在になった。しかし,実際にヒステリーは減少したのだろうか? Kraepelin8)はヒステリー現象の本質はその変わりやすさであると断言しているが,今日の文化的状況の中でヒステリーが姿を変え,今なお精神科の臨床的問題になり続けている可能性は十分にある。
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