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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻8号

1990年08月発行

文献概要

研究と報告

精神科救急におけるRhabdomyolysis—高CPK血症と急性腎不全

著者: 東里兼充1 稲垣智一1 藤森英之1 熊倉徹雄1 米澤洋介1 飛鳥井望1 比賀晴美1 浜元純一1 下田哲也1 加藤寛1 白井豊1

所属機関: 1東京都立墨東病院神経科

ページ範囲:P.881 - P.889

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 抄録 精神科救急部門に入院した301例を対象にCPKを含むスクリーニング検査を行った。CPK値1001以上の高度異常は全体の15.3%に生じ,けいれん重積発作,覚醒剤中毒急性症状群,振戦せん妄群,緊張病性興奮群に多かった。また,高度異常のうちアルコール精神病の2例,覚醒剤急性中毒の3例に急性腎不全を併発していた。Rhabdomyolysisによる腎不全の発症は,精神運動興奮による筋の障害および腎血流量低下が主な原因と考えられる。アルコール精神病では嘔吐・下痢による脱水と電解質喪失が,覚醒剤急性中毒では交感神経刺激症状である発汗による高度の脱水が促進因子である。
 腎不全の治療には,病初期に糸球体濾過量確保のために脱水の急速補正をすることが重要で,1日4〜6lの輸液による保存療法で予後良好であった。特に薬物中毒性精神病では,急性腎不全併発に対する注意と輸液による早期治療がぜひとも必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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