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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻8号

1990年08月発行

文献概要

研究と報告

失語症で発症し,特異な臨床病理像を呈したピック病の1剖検例

著者: 水上勝義1 牧野裕2 小林一成2 池田研二2 小阪憲司3

所属機関: 1筑波大学臨床医学系 2東京都立松沢病院精神科 3東京都精神医学総合研究所神経病理

ページ範囲:P.899 - P.905

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 抄録 特異な臨床病理像を呈したピック病の1剖検例を報告した。症例は67歳の女性。感覚失語で初発し,徐々に進行し全失語となった後に,人格変化や痴呆症状が加わり,最後には失外套症候群に移行し死亡した。また経過中,聴力低下や,筋固縮,項部ジストニー,進行性核上性麻痺様の姿位などの神経症状を呈した。神経病理学的には,側頭前頭型のピック病と診断されたが,大脳皮質病変がウェルニッケ領域を含む上側頭回中部から後部領域と横回に強調されることや,大脳基底核の病変に比して黒質の病変が強いことなどのピック病としては稀な所見が認められた。本症例の臨床像の特異性は神経病理所見の特異性を反映しているものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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