icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻9号

1990年09月発行

文献概要

研究と報告

不安障害患者にみられる僧帽弁逸脱—正常人との比較

著者: 越野好文1 村田哲人1 大森晶夫1 浜田敏彦2 福井純一2 伊藤達彦3 三沢利博4 伊崎公徳1

所属機関: 1福井医科大学神経精神医学教室 2福井医科大学検査部 3福井県立精神病院 4福井医科大学第3内科

ページ範囲:P.963 - P.970

文献購入ページに移動
 抄録 不安障害の生物学的精神医学研究として,僧帽弁逸脱について検討した。対象はDSM-Ⅲによる恐慌性障害20人,全般性不安障害11人,および恐慌発作を有するが恐慌性障害の診断基準は満たさない患者5人の合計36人で,平均年齢(±SD)は40.9(±13.5)歳であった。対照群は健康成人36人で年齢は23.5(±4.1)歳で,有意に若かった。僧帽弁逸脱の有無は断層心エコーを用いて,精神科の臨床診断についてはブラインドで,判定した。患者群の17人(47.2%)に僧帽弁逸脱がみられ,対照群の5人(13.9%)より有意に高率であった。診断別では恐慌性障害が13人(65%)と対照群より高率だった。全般性不安障害でも4人(36.4%)と高率だったが有意の差はなかった。恐慌発作のみの患者では逸脱はみられなかった。逸脱の程度は軽度で,心音図でクリックが恐慌性障害に2人,対照群に3人みられた。Pulse dopplerでは両群共に有意な逆流を示す例はなかった。心エコーでの僧帽弁機能には逸脱のある群とない群で差はなかった。僧帽弁逸脱は単なる恐慌発作よりも,恐慌性障害に全般性不安障害を含めた不安障害に関連していることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?