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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻9号

1990年09月発行

研究と報告

側頭葉てんかんにおける記銘力障害と脳波異常の側性—非手術例におけるその局在価値について

著者: 兼本浩祐1 上村悦子1

所属機関: 1国立療養所宇多野病院

ページ範囲:P.973 - P.978

文献概要

 抄録 表在脳波において左右いずれかの側頭部に焦点が限局しており,テストが可能であった19例の複雑部分発作を持つ側頭葉てんかんの患者に,WAISによる知能検査,2種類の言語性記銘力検査(AVLT:auditory verbal learning test,PAL:paired associate learning)と1種類の視覚性記銘力検査(ROIR:immediate recall of Rey-Osterrieth figure)を行いその局在価値を比較した。結果は,IQを考慮に入れずに行った場合には,いずれの尺度を用いても有意差に達しなかったが,IQが80を超えた12例に限って分析を行うと,ROIRとAVLT/ROIRに関して左右の半球間の成績の差異は有意に言語素材に対する左半球優位と視覚素材に対する右半球優位を示した。更に視覚記銘力の成績が悪い症例においては,図形の模写を一定の戦略なく,断片的に行う傾向があったことから,右海馬機能の情報組織化説と関連させて若干の推論を述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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