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文献詳細

雑誌文献

精神医学32巻9号

1990年09月発行

研究と報告

精神分裂病(破瓜型)の病態経過とクレペリンテストの継時的変化との関連—退院後の予後を含めて

著者: 高良聖1 宮坂松衛1 大森健一1 中野隆史1

所属機関: 1獨協医科大学精神神経科

ページ範囲:P.987 - P.994

文献概要

 抄録 入院中の破瓜型分裂病患者31名に対して,継時的にクレペリンテストを施行し,その成績の推移とWBRS(Ward Behaviour Rating Scale)による臨床的病態経過さらに退院後予後との関連を検討した。その結果,クレペリン経過類型として,改善型,不変型,変動型,悪化型の4型を提示した。臨床的病態経過との関係では,経過良好群には,改善型と不変型が多く,経過不良群には変動型と悪化型が多かった。また,予後との関係では,予後良好群に改善型と不変型が,予後不良群に変動型と悪化型がそれぞれ多く認められた。特に,個々のテスト成績が低い水準にあってもその推移が「不変型」に相当する症例はその後の社会適応が良好であるという印象を受けた。クレペリン因子別変化では,作業量,動揺率の変化が大きく,休憩効果,初頭努力,誤謬率の変化は少なかった。これによって,本テストの継時的施行における推移の分析が分裂病者の予後推測の指標になる可能性を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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