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短報
自己臭恐怖および強迫症状がクロミプラミンにより改善した1例
著者: 佐野輝1 柿本泰男1
所属機関: 1愛媛大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.1011 - P.1012
文献購入ページに移動I.はじめに
「自分の身体から不快な臭いを発し,そのために他人に迷惑をかけ,他人から嫌がられていると悩む。」という自己臭体験について,精神病理学的見地からの報告は多く,思春期妄想症1,2),重症対人恐怖の一型としての体臭恐怖3),social phobiaの妄想型(加害恐怖)4)など多彩である。しかし,その生物学的見地からの報告は極めて少ない。一方最近の研究で,強迫性障害および恐慌性障害に対し,各々三環系抗うつ薬であるクロミプラミンおよびイミプラミンが有効であるという報告が相次いでなされている5)。著者らは,自己臭体験と強迫症状を合わせ持ち,クロミプラミンにより著しい改善を示した1例を経験した。本症例の臨床経過を報告するとともに,若干の考察を加える。
「自分の身体から不快な臭いを発し,そのために他人に迷惑をかけ,他人から嫌がられていると悩む。」という自己臭体験について,精神病理学的見地からの報告は多く,思春期妄想症1,2),重症対人恐怖の一型としての体臭恐怖3),social phobiaの妄想型(加害恐怖)4)など多彩である。しかし,その生物学的見地からの報告は極めて少ない。一方最近の研究で,強迫性障害および恐慌性障害に対し,各々三環系抗うつ薬であるクロミプラミンおよびイミプラミンが有効であるという報告が相次いでなされている5)。著者らは,自己臭体験と強迫症状を合わせ持ち,クロミプラミンにより著しい改善を示した1例を経験した。本症例の臨床経過を報告するとともに,若干の考察を加える。
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