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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻1号

1991年01月発行

文献概要

研究と報告

幻覚の生起機序

著者: 立津政順1

所属機関: 1熊本大学

ページ範囲:P.31 - P.37

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 【抄録】異常体験を次の3群に分ける―A群:幻覚,B群:考えなのか聞こえるのかなど患者に不明瞭な体験,C群:考想伝播,作為体験,強迫体験などの自我障害症状。慢性分裂病114例についての調査によると,出現が,AとC群の共存36例,A群だけ9例,C群だけ25例で,A・C群がいずれも認められない場合が44例(うち1例は,B群だけでの出現)。以上から,A群が出現する場合,C群も伴って出現することが多いと言える(χ2-test,p<0.01)。したがって,両群は近縁関係にあり,幻覚も自我障害によって起こる症状である可能性が大きい。別の主として慢性分裂病者からなる41の幻覚例のうち,幻覚の内容が患者の考えであるとみなされたものが34例,82.9%あった。このことから,大部分の幻覚は,患者の考えが自分のものでなくなるとともに知覚様化したものであると思われる。それらの場合,無為・無力状により受動的・異物様なものになるとみられる考えが,さらに慣れにより知覚様化する,と推測される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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