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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻1号

1991年01月発行

文献概要

研究と報告

熱性けいれんコホートの追跡および無熱性けいれん移行例

著者: 坪井孝幸1 萩原康子2 遠藤俊一3 飯田紀彦4

所属機関: 1東京都島しょ保健所 2東京国際大学 3神経科土田病院 4関西大学

ページ範囲:P.65 - P.70

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 【抄録】 熱性けいれんの予後に影響を及ぼす医学的,社会学的要因を病院に基礎をおく研究で調べた。
 1)病院初診時5歳以下の熱性けいれん(FC)コホート528例を16年間前向きに追跡し,無熱性けいれん移行(FCC)39例(7.4%)が知られ,Kaplan-Meier法によりFCC累積移行率の補正値10%が得られた。2)FCC移行率は,(a)FCC移行の危険が大きいと判別(判別関数法による判別式の値y>0)されたものでは15%(31/208),小さいと判別(y<0)されたものでは2.5%(8/320)となった(オッズ比6.83)。(b)抗けいれん剤非服薬群におけるFCC移行率はy>0群では47%(22/47),y<0群では3%(6/229)となり(オッズ比32.7),正しい判別の確率89%が得られ,判別式の有用性が示された。(c)この移行率はy>0群では服薬と非服薬により,6%(9/161)と47%(22/47)(オッズ比14.9,寄与危険41%),y<0群ではそれぞれ2%(2/91)と3%(6/229)の結果が得られ,服薬によるFCC移行阻止の可能性は判別式y>0群においてのみ示された。3)FCコホートの追跡研究から,FCC移行の8危険要因がみつかった。すなわち,低い熱発(38.4℃以下),けいれんの持続時間20分以上,反復回数5回以上,初回から再発FCまでの間隔1カ月未満,一親等近親者のてんかん罹患,脳波検査による基礎律動異常,繰り返し脳波検査による棘波異常,および精神発達の遅れ,である。4)これら8要因の獲得スコアとFCC移行率および抗けいれん剤服薬との関連について検討を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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