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雑誌目次

論文

精神医学33巻10号

1991年10月発行

雑誌目次

巻頭言

「精神病理学」雑感

著者: 濱中淑彦

ページ範囲:P.1038 - P.1039

 Binswanger,Straus,Gebsattel,Weizsäcker,Minkowski,Eyなど巨匠の時代が終わりを告げ,生物学的精神医学(専門誌創刊は1967年)の台頭と共に,「精神病理学の危機」(Janzarik 1976)について語られるようになって以来,既に15年の年月が過ぎ去ったが,Wien世界精神医学会の日独墺シンポジウム「危機の中なる精神病理学」(Pauleikhoffら1983)を経た今日なお,精神病理学の課題と方法論をめぐる論議が絶えない。「精神医学の基礎科学としての精神病理学」(Janzarik 1979)を考えて,精神病理学抜きで治療的実践に突進する若い精神科医層の無関心を慨嘆する見解に対して,「精神病理学(者)がみずから自律的科学(者)だと理解」することには疑問があり,「哲学的,心理学的,社会学的基盤の上に閉じた系としての精神病理学を築くことはもはや不可能」で「バビロン的言語混乱」を招くばかりだとの反論がある。つまり一般化(法則定立的な自然科学)と個別化(個性記述的な史的科学)という二つの経験的知識は互いに相補的なもので,「精神病理学は…すべての科学的方法を包括する」「開かれた」「経験科学」として,「多因子的に規定された」「複合的な条件関連の共通の最終道程である精神症状群」を解明すべきだと主張し,精神病理学の実質的定義Realdefinitionではなく,名目的定義Nominaldefinitionを採用する立場(Heimann 1977/79)がある。この疑問に対しては逆に,Jaspers, K. Schneider以来の記述精神病理学に代えて,精神疾患を「関係障害の類型学」として研究する間作用精神病理学interaktionale Psychopathologieを標榜する一方,「経験主義の名称のもとに精神病理学を願い下げる」Heimamの試みを非難し,「客観的観察の用語で語ることのできない心的異常性」の「本質」「人間学的意味」を言語化することが精神病理学の関心事だとして,Müller-Suur(bestimmtes Unbestimmtes:1955),Conrad(Gestal tanalyse:1958),Rümke(Praecoxgefühl:1958),Zutt(Standverlust),Blankenburg(Verlust der naturlichen Selbstverständlichkeit:1971)などの例をあげる立場(Glatzel 1978-1990)がある。また「精神障害で問われる諸現象や問題は決して単純に経験的なものではなく」「精神病理学者は哲学的内省なしにすますことはできない」という新進の発言(M. Spitzer 1988)も見逃せないであろう。
 このような状況を前にしてMundt(1989)は,人間学的現象学と精神分析(1950〜60年代),次いで若干イデオロギー的となった社会精神医学(1970年代)の解釈学的・思弁的時代から,経験的・自然科学的傾向に移行するあたりで精神病理学にも深刻な変動が始まり,操作主義的概念形成とこれを用いた経過・診断研究の時期が到来したが,これも一応の終熄に近づき,いまや病的過程(治療経過,ライフ・イベント,家族力動,精神生理学的過程と精神病理学的過程の相関,個人内の認知的および情動的加工など)の経験的研究に力点が移りつつと展望した上で,解釈学的アプローチと経験的・実証的方法論にはそれぞれ拭い難い難点があるのは,精神医学的思考が避けて通ることのできない「心身論と方法論的ディコトミー」に由来するものであり,この二つの研究方法の相互の「健全に機能する弁証法」を追及することが望ましいと指摘し,精神病理学に以下の再定義を試みた。精神病理学とは「異常な体験・情態・行動を,その心的・社会的・生物学的関連において記述すること」であると。だがこの比較的冷静な位置づけによって果たしてMundtの期待どおり,将来の「精神病理学が臨床精神医学の中心」に置かれることになるのか否か。

展望

精神疾患の遺伝学—最近のDNA研究を中心として

著者: 米田博

ページ範囲:P.1040 - P.1049

■はじめに
 最近の分子生物学ことに遺伝子工学の急速な進展は,臨床医学の各分野に様々な影響を与え,多くの新しい可能性をもたらしている。すなわち,DNAを直接操作することによって,従来は不可能であった出生前診断や保因者の同定が可能になり,感染症や癌の診断にも応用されるようになっている。また治療面でも,遺伝子治療の可能性が論じられるようになり,医薬品の開発に遺伝子工学の手法が盛んに用いられ,実際の臨床場面でも使用されるようになっている。さらに,原因の不明な遺伝性疾患について,直接DNAを解析することによって原因遺伝子を同定し,そこから生化学的異常を解明してゆくといった従来の研究とはまったく逆の方法,すなわち逆遺伝学(reverse genetics)が行われ,成果をあげている。精神疾患についても,内因性精神病を中心にこのような研究が精力的に行われるようになっている63)。そこで,ここでは新しい研究方法である逆遺伝学とそこで用いられるDNA分析法や連鎖解析を紹介し,さらにこれらの手法を用いた精神疾患の遺伝研究の現状とその問題点を中心に述べてゆく。

研究と報告

Maternity Bluesと産後うつ病の比較文化的研究

著者: 岡野禎治 ,   野村純一 ,   越川法子 ,   土居通哉 ,   辰沼利彦

ページ範囲:P.1051 - P.1058

 【抄録】 国内の2施設で,産褥婦325名を対象として,出産直後から1カ月後までのprospectiveな調査を行い,maternity bluesと産後うつ病の出現頻度および両者の関連性について検討した。診断には,英国で用いられているものと同一の評価尺度を用いた。84名(25.8%)がmaternity bluesと判定された。産後うつ病と判定されたのは10名(3.1%)であったが,そのうち4名はmaternity bluesからの移行例であった。maternity blues群と産科的要因との関連は認められなかったが,産後1カ月のうつ病評価尺度の得点が正常群よりも高く,1カ月後にも心理的影響を残していると考えられた。産後うつ病になる頻度についても,maternity blues群のほうが正常群よりも高かった。我が国におけるmaternity bluesと産後うつ病の出現頻度は欧米に比べて低く,その背景には日本女性の性格的特性や社会文化的要因の違いが関与していると思われる。

うつ病者におけるメランコリー型性格特徴と人格障害(その2)—メランコリー型性格特徴,DSM-Ⅲ-R人格障害およびその他の臨床特徴とうつ病の4カ月予後

著者: 佐藤哲哉 ,   田中敏恒

ページ範囲:P.1059 - P.1067

 【抄録】 外来で十分な量の抗うつ剤治療を受けている非精神病性大うつ病52名の4カ月予後とメランコリー型性格傾向,DSM-Ⅲ-R人格障害,その他のうつ病の臨床特徴との関連を調査した。治療開始後4カ月で寛解した者は,全対象の44.2%であった。4カ月予後の不良と関連する要因は,①DSM-Ⅲ-R人格障害が2個以上あること,②年齢が39歳以下もしくは50歳以上,③うつ病相にlifeeventが前駆していないか,重度から極度のlife eventが前駆していること,④病像にacting outがみられること,⑤cluster Bの人格障害が存在すること,⑥cluster Cの人格障害が2個以上あることであった。このうち,前3者の4カ月予後との関連が特に強かった。性別,うつ病の家族歴,メランコリー型性格傾向,メランコリー型病像特徴は4カ月予後とほとんど関連していなかった。これらの結果をすでに行われているいくつかの研究と比較しながら若干の考察を加えた。

小児神経症の発生機転—森田理論による検討

著者: 青島正明 ,   松本英夫 ,   星野良一 ,   大原健士郎 ,   大瀧和男

ページ範囲:P.1069 - P.1075

 【抄録】 15歳以下の神経症圏患者187名を,森田理論から検討した。森田神経質に特徴的と思われる項目をチェックリストにあげ,これを用いて対象を2群に分け,チェックリストを満たす項目数が多いものを森田群,そうでないものを非森田群とし,その特徴を比較した。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)15歳以下の神経症圏患者187例の中に,森田理論によって説明可能なものが15例(8.0%,男7例,女8例)あり,最年少症例は9歳8カ月だった。(2)森田群はDSM-Ⅲ-Rによる診断で,“強迫性障害”と“社会恐怖”に分類されるものが多かった。(3)森田群に属する神経症圏患者は,成人の森田神経質の有する特徴の多くを備えていることが確かめられた。(4)森田群は,精神発達の段階からみて,他者の視点に立ってみた自己意識は芽生え始めているものの,社会・文化が規定する理想への志向性は,まだ十分でない状態にあると考えられた。

ヒステリー性もうろう状態とてんかん性もうろう状態の言語面での比較—“vorbeireden”の再評価の試み

著者: 兼本浩祐

ページ範囲:P.1077 - P.1084

 【抄録】 間歇的な意識消失発作を伴うGanser症候群を呈した女性患者において発作後もうろう状態の際に言語検査を施行し,その結果を複雑部分発作後のもうろう状態における言語検査の結果と錯語に重点を置いて比較した。その結果,ヒステリー性のもうろう状態において産出された錯語は,目標語と同じ意味範疇にとどまる,形式的語性錯語・語音連合など聴覚・言語的連想の脱抑制がみられず,保続性錯語もわずかである,系統的な漢字の錯読がみられるという点でてんかん性もうろう状態における錯語と異なっていた。さらに,てんかん性もうろう状態においては目的語に到達しながらそれと気づかず「通り過ぎて」しまうことがあるのに対し,ヒステリー性もうろう状態においては目的語がそのままの形で表出されることが巧妙に回避される点を,両者の“vorbeireden”の相違点として指摘し,シーニュの成立という観点から論じた。

多飲から重篤な意識障害を来した若年性進行麻痺の1症例—水中毒の病態と治療

著者: 榎田雅夫 ,   真下清 ,   関口隆一 ,   加沢鉄士 ,   山内俊雄

ページ範囲:P.1085 - P.1093

 【抄録】 多飲から重篤な意識障害を示して,水中毒と診断された若年性進行麻痺の1症例を報告し,水中毒の病態,治療について考察した。
 症例は31歳の女性で,多飲から全般性強直間代発作,半昏睡状態を示し,低Na血症,低浸透圧血症から水中毒と診断した。頭部CTでは脳浮腫所見を認めず,脳波検査で高振幅δ波が全般性に連続して認められた。利尿を目的にfurosemideを静注し,翌日は軽度の低Na血症まで是正されて意識も清明となり,第3病日には脳波も正常化した。
 一般に,水中毒の中枢神経症状の発現には,低Na血症それ自体が関与するものと,脳浮腫と低Na血症の両者が関与する2つの病態があることが推測された。前者はループ利尿剤のfurosemideが,後者は脳浮腫治療剤のmannitolが有効と考えられた。また,低Na血症の補正にはcentral pontine myelinolysisの併発予防に留意する必要があることを強調した。

進行性核上性麻痺—主として精神症状について

著者: 天野直二 ,   柳下三郎

ページ範囲:P.1095 - P.1104

 【抄録】 進行性核上性麻痺は,錐体外路系の症状を主とし,垂直性眼球運動障害や頸部ジストニアを呈する神経変性疾患である。また,多彩な精神症状,すなわち幻覚,妄想,感情障害,せん妄,昏迷様状態,さらに皮質下性痴呆を呈するのも特徴である。今回,6剖検例,2臨床例でその精神症状を主眼にして症例報告した。神経症状の出現以前に幻覚妄想状態を呈した症例が2例あり,せん妄を呈した症例は5例みられた。また,いずれの症例にも痴呆と言える病像がみられたが,今まであまり注目されていない挿間性の昏迷様状態が高い頻度でみられ,カタレプシーを呈する症例もみられた。これらの症状の発現には,Albertらが指摘したように脳幹,視床などの器質的な病変による機能障害が起因していると考えられた。進行性核上性麻痺は皮質下性痴呆だけでなく,その経過中に多彩な精神症状をみる可能性の高い疾患である点を強調した。

皮膚寄生虫妄想を呈したアルコール多量飲用者の1例

著者: 永瀬文博 ,   赤崎安昭 ,   野間口光男 ,   森岡洋史 ,   長友医継 ,   松本啓 ,   中川潔

ページ範囲:P.1105 - P.1109

 【抄録】 皮膚寄生虫妄想を呈したアルコール多量飲用者の1例について報告した。症例は52歳の男性で,30年間にわたって多量のアルコールを飲用していたが,知人の死を契機に,陰部を中心に下肢や背部に激しい体感異常が出現した。そしてこれらの体感異常に対しては,亡くなった知人の霊がダニ様の虫になり代わって引き起こしているのだと妄想的に解釈していた。本症例においては,断酒と抗精神病薬投与により,妄想的解釈に変化はみられなかったが,体感異常は比較的速やかに消退した。
 本症例は,長年のアルコール多量飲用に基づく末梢神経障害,インポテンス,痔核といった基礎疾患により皮膚の感覚変化が生じ,これらが体感異常を発現させる基盤になったと考えられた。そして,知人の死による孤立的,疎外的な不安状況,および知人に対する罪悪感が心因として加わり,体感異常を妄想的解釈に発展させたものと考えられた。

癌性疼痛に対する精神医学的関与の重要性について

著者: 田中敏恒 ,   佐藤哲哉 ,   市井吉三郎 ,   丸田宥吉

ページ範囲:P.1111 - P.1116

 【抄録】 進行癌の手術後,原発巣に一致した部位に疼痛が出現し同時に精神症状を伴っていた2症例の治療経過について精神科コンサルテーションの立場から報告した。各々不安状態,抑うつ状態を呈していたが,それらに対して向精神薬を投与し小精神療法を施行することにより,精神症状は軽快しそれに伴い疼痛も軽快していった。以上の経験から癌性疼痛は器質的要因が明らかに存在しても,心因的に荷重され,精神症状と疼痛の間に悪循環が形成された場合,精神医学的に治療することにより疼痛が軽減することがあり得ると考えられた。また終末期医療の重要性が叫ばれている今日,それに対する精神医学からの取り組みが不十分である現状についても言及した。

短報

遅発性ツーレット様症候群の1例

著者: 國芳雅広 ,   稲永和豊 ,   有川勝嘉 ,   前田嘉子 ,   中村純 ,   内村直尚

ページ範囲:P.1117 - P.1119

■はじめに
 抗精神病薬は,精神病患者の症状を軽減させ,社会適応を良好にすることには多大の貢献をしてきた。しかし,薬物療法が広く普及された反面,遅発性症候群と呼ばれる副作用が問題となってきた。その中で遅発性ジスキネジアの報告は多く,遅発性アカシジアも最近ではその治療法を含めた報告が散見されるようになった。しかし今回報告する遅発性ツーレット様症候群の報告はいまだ本邦ではみられず,海外の文献でも10例に満たない報告があるのみである。さらにその治療法については遅発性ジスキネジアなどと同様にいまだ確立したものはみられない。
 今回我々は精神分裂病の治療経過中に,Gilles de la Tourette's syndromeと同様の音声チックおよび運動性チックを発症した症例を経験したので若干の文献的な考察を試みた。

Sultoprideにより改善した遅発性ジストニアの1例

著者: 臼杵淳子 ,   梶田修明 ,   吉邨善孝

ページ範囲:P.1121 - P.1123

 遅発性ジストニアは抗精神病薬長期投与における難治性の副作用であるが,その病態生理および治療法は確立されていない。今回我々はsultoprideにより,活発な精神症状を有する難治性の遅発性ジストニアがその精神症状とともに改善した1例を経験したので報告する。

資料

精神障害者の両親と同胞の統計調査

著者: 津村哲彦 ,   西野英男 ,   工藤行夫 ,   新井治美 ,   田口弘之 ,   宮崎清 ,   松岡邦彦

ページ範囲:P.1125 - P.1133

■はじめに
 今世紀に入り,Bleuler E,Kraepelin Eらが精神疾患の遺伝性に注目して以来,Rüdin Eの精神分裂病の2独立遺伝子座位仮説をはじめKallmann FJの研究など,多くの研究者により精神疾患の成因についての研究が集積されている16,39)。それにもかかわらず精神疾患の統一された成因論は確立されていない。このことは,単純な成因論で考えること自体が不可能であることを意味しているのかもしれない。近年の成因論議は素因か環境かとあたかも相対立する二分論的論議が多い。そして,臨床観察的研究からも種々の表現型から臨床疾病単位を細分化し,概念が先走りしている感も否めない。これら確立されない成因論に要請されることは,生物学的成因論と環境因的成因論の統合された論議であるように思われる。
 最近遺伝研究で,単純なメンデル遺伝形式では考えられないことから,染色体の遺伝子連鎖分析が盛んに行われ,Bassettらが遺伝子連鎖分析研究の臨床的・方法論的問題点を紹介しながらその寄与を強調している3,4)。しかし,遺伝子型が変化しなくても,出生前ないし出生後の環境要因により表現型が変化する16)という意味で,これらの成果も種々の表現型のうちの1つの可能性であり確立されたとは言い難いものであるが,環境的な要因も考慮しなければならぬ問題である。
 以上の事情から,Gregory17)が精神障害者の家族の分析から有意な結論が出なかったとしているが,臨床実践的な諸問題を掘り起こし整理してゆく必要があり,その一環として,我々は精神障害者の両親が高齢であるという印象から,両親の年齢および同胞についての情報とさらにこれらに付随する諸問題を整理してまとめた。

動き

「第16回日本睡眠学会」印象記

著者: 佐々木三男

ページ範囲:P.1134 - P.1135

 第16回日本睡眠学会定期学術集会は,世話人井上昌次郎先生,小島卓也先生のもとで1991年6月7,8日,東京お茶の水スクエア・カザルスホールで開催された。参加者は,招待者を含めて500名余に達し,プログラム構成は,シンポジウム1,ワークショップ2,円卓会議1と一般演題105題であった。

「摂食障害国際シンポジウム」に参加して

著者: 高木洲一郎

ページ範囲:P.1136 - P.1138

 摂食障害国際シンポジウム(Eating Disorders-International Symposium)が1991年4月17日から19日の3日間,パリで,パレ・デ・コングレを会場として開かれた。参加国数(演題発表)27カ国,参加者850人と,摂食障害のみの学会としてはかなりのスケールの学会であり,この分野における主要な研究者はほとんどが顔を揃えた。大変有意義で,盛会裏に終了したので,その模様をご報告したい。
 今回のシンポジウムは,国際思春期精神医学会と,世界精神医学会の摂食障害部門の共催により,フランスのP. Jeammet教授,イギリスのG. Russell教授を会長として行われた。日本からは学術委員のメンバーに小倉清先生が入っておられ,日本の窓口となられた。我が国からの出席者は,湾岸戦争後ということもあり約10名と少なく,また精神科以外からの参加者はひとりもいなかった。小倉,皆川邦直,姉歯一彦,筆者が座長の機会を与えられた。

「精神医学」への手紙

Letter—「臨死体験の記録—死直前のEuphoriaは『物質』によるものか」(追記)

著者: 豊倉康夫

ページ範囲:P.1144 - P.1144

 種々の事情から先の一文(本誌33(6);572-573, 1991)を公表するまでには長い年月を待たねばならなかったし,あらためて勇気を要した。
 幸か不幸か,当時の現場に居合わせた方々とはその後話し合うことがなく,また他の臨死体験の記録を読む機会もなかった。最近評判になった立花隆氏のNHKで放映されたドキュメンタリーも残念ながら見損なった。したがって,これは筆者自身の純粋な内省記録である。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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