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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻10号

1991年10月発行

展望

精神疾患の遺伝学—最近のDNA研究を中心として

著者: 米田博1

所属機関: 1大阪医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.1040 - P.1049

文献概要

■はじめに
 最近の分子生物学ことに遺伝子工学の急速な進展は,臨床医学の各分野に様々な影響を与え,多くの新しい可能性をもたらしている。すなわち,DNAを直接操作することによって,従来は不可能であった出生前診断や保因者の同定が可能になり,感染症や癌の診断にも応用されるようになっている。また治療面でも,遺伝子治療の可能性が論じられるようになり,医薬品の開発に遺伝子工学の手法が盛んに用いられ,実際の臨床場面でも使用されるようになっている。さらに,原因の不明な遺伝性疾患について,直接DNAを解析することによって原因遺伝子を同定し,そこから生化学的異常を解明してゆくといった従来の研究とはまったく逆の方法,すなわち逆遺伝学(reverse genetics)が行われ,成果をあげている。精神疾患についても,内因性精神病を中心にこのような研究が精力的に行われるようになっている63)。そこで,ここでは新しい研究方法である逆遺伝学とそこで用いられるDNA分析法や連鎖解析を紹介し,さらにこれらの手法を用いた精神疾患の遺伝研究の現状とその問題点を中心に述べてゆく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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