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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻10号

1991年10月発行

研究と報告

小児神経症の発生機転—森田理論による検討

著者: 青島正明1 松本英夫1 星野良一1 大原健士郎1 大瀧和男2

所属機関: 1浜松医科大学精神神経科 2市立島田市民病院精神科

ページ範囲:P.1069 - P.1075

文献概要

 【抄録】 15歳以下の神経症圏患者187名を,森田理論から検討した。森田神経質に特徴的と思われる項目をチェックリストにあげ,これを用いて対象を2群に分け,チェックリストを満たす項目数が多いものを森田群,そうでないものを非森田群とし,その特徴を比較した。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)15歳以下の神経症圏患者187例の中に,森田理論によって説明可能なものが15例(8.0%,男7例,女8例)あり,最年少症例は9歳8カ月だった。(2)森田群はDSM-Ⅲ-Rによる診断で,“強迫性障害”と“社会恐怖”に分類されるものが多かった。(3)森田群に属する神経症圏患者は,成人の森田神経質の有する特徴の多くを備えていることが確かめられた。(4)森田群は,精神発達の段階からみて,他者の視点に立ってみた自己意識は芽生え始めているものの,社会・文化が規定する理想への志向性は,まだ十分でない状態にあると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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