icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻10号

1991年10月発行

文献概要

研究と報告

ヒステリー性もうろう状態とてんかん性もうろう状態の言語面での比較—“vorbeireden”の再評価の試み

著者: 兼本浩祐1

所属機関: 1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター

ページ範囲:P.1077 - P.1084

文献購入ページに移動
 【抄録】 間歇的な意識消失発作を伴うGanser症候群を呈した女性患者において発作後もうろう状態の際に言語検査を施行し,その結果を複雑部分発作後のもうろう状態における言語検査の結果と錯語に重点を置いて比較した。その結果,ヒステリー性のもうろう状態において産出された錯語は,目標語と同じ意味範疇にとどまる,形式的語性錯語・語音連合など聴覚・言語的連想の脱抑制がみられず,保続性錯語もわずかである,系統的な漢字の錯読がみられるという点でてんかん性もうろう状態における錯語と異なっていた。さらに,てんかん性もうろう状態においては目的語に到達しながらそれと気づかず「通り過ぎて」しまうことがあるのに対し,ヒステリー性もうろう状態においては目的語がそのままの形で表出されることが巧妙に回避される点を,両者の“vorbeireden”の相違点として指摘し,シーニュの成立という観点から論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら