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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻10号

1991年10月発行

文献概要

研究と報告

多飲から重篤な意識障害を来した若年性進行麻痺の1症例—水中毒の病態と治療

著者: 榎田雅夫1 真下清1 関口隆一2 加沢鉄士1 山内俊雄1

所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室 2埼玉県立精神保健総合センター

ページ範囲:P.1085 - P.1093

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 【抄録】 多飲から重篤な意識障害を示して,水中毒と診断された若年性進行麻痺の1症例を報告し,水中毒の病態,治療について考察した。
 症例は31歳の女性で,多飲から全般性強直間代発作,半昏睡状態を示し,低Na血症,低浸透圧血症から水中毒と診断した。頭部CTでは脳浮腫所見を認めず,脳波検査で高振幅δ波が全般性に連続して認められた。利尿を目的にfurosemideを静注し,翌日は軽度の低Na血症まで是正されて意識も清明となり,第3病日には脳波も正常化した。
 一般に,水中毒の中枢神経症状の発現には,低Na血症それ自体が関与するものと,脳浮腫と低Na血症の両者が関与する2つの病態があることが推測された。前者はループ利尿剤のfurosemideが,後者は脳浮腫治療剤のmannitolが有効と考えられた。また,低Na血症の補正にはcentral pontine myelinolysisの併発予防に留意する必要があることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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