icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻10号

1991年10月発行

文献概要

研究と報告

進行性核上性麻痺—主として精神症状について

著者: 天野直二1 柳下三郎2

所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院精神神経科 2神奈川リハビリテーション病院病理

ページ範囲:P.1095 - P.1104

文献購入ページに移動
 【抄録】 進行性核上性麻痺は,錐体外路系の症状を主とし,垂直性眼球運動障害や頸部ジストニアを呈する神経変性疾患である。また,多彩な精神症状,すなわち幻覚,妄想,感情障害,せん妄,昏迷様状態,さらに皮質下性痴呆を呈するのも特徴である。今回,6剖検例,2臨床例でその精神症状を主眼にして症例報告した。神経症状の出現以前に幻覚妄想状態を呈した症例が2例あり,せん妄を呈した症例は5例みられた。また,いずれの症例にも痴呆と言える病像がみられたが,今まであまり注目されていない挿間性の昏迷様状態が高い頻度でみられ,カタレプシーを呈する症例もみられた。これらの症状の発現には,Albertらが指摘したように脳幹,視床などの器質的な病変による機能障害が起因していると考えられた。進行性核上性麻痺は皮質下性痴呆だけでなく,その経過中に多彩な精神症状をみる可能性の高い疾患である点を強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?