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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻11号

1991年11月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者における家周辺空間の認知

著者: 横田正夫1

所属機関: 1日本大学文理学部心理学研究室

ページ範囲:P.1169 - P.1177

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 【抄録】 精神分裂病患者の家周辺空間の認知を調べるために,分裂病患者144名,正常者62名に家の周りの地図を描くように求める認知地図検査を実施した。そして分裂病患者と正常者の間で認知地図の詳細さ,広がり,遠方空間との関係づけの程度を比較した。その結果,分裂病患者では自分の家と1本の道路のみを描くというように詳細さに乏しく,広がりも狭く,また遠方空間との関係づけも少なかった。以上の結果は,これまでの認知地図検査の結果と一致し,患者の心の目の視角の狭さの認知障害を示唆する。さらに,長期入院患者の認知地図では短期入院のものより詳細さがより乏しく,広がりがより狭く,遠方空間との関係づけがより少なかった。このことから認知地図は患者がその空間にどの程度根づいているかの指標となると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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