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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻11号

1991年11月発行

研究と報告

寛解過程における分裂病者のパースペクティブについて—特に初発分裂病者が寛解過程において,それまでの体験を不思議だったと語ることの意義について

著者: 藤井洋一郎1

所属機関: 1北林病院

ページ範囲:P.1195 - P.1200

文献概要

 【抄録】 従来から精神分裂病の初発時の回復の程度がその予後に大きな影響を及ぼすことが指摘され,初発時の病的体験をできるだけきれいに消失させることの必要性が説かれている。この点に検討を加えるために我々はパースペクティブと地平という概念を援用し,寛解状態の理解を深めようとした。病的体験の中を経過することによって構成された(病的)地平は精神病過程において障害されたパースペクティブ機能の回復に同期して消失するものではない。寛解後期にしばしば病者が語るところの「不思議だった」という言葉は病盛期におけるそれとは異なり,自分の下した判断の不合理性に対して述べられるものである。この時には病的地平としてあった事態を今一度対象としてとらえ直し検討を加えているのである。この検討が十分に行われることにより再発時に役立つ病感を育てることができることを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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