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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻11号

1991年11月発行

文献概要

研究と報告

境界型人格障害の下位分類の試み—ボーダーラインスケールの数量的解析を通じて

著者: 町沢静夫1 佐藤寛之1

所属機関: 1国立精神・神経センター,精神保健研究所成人精神保健部

ページ範囲:P.1201 - P.1209

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 【抄録】 境界型人格障害は今もって明確な単一疾患と考えることは困難だと思われる。我々の今までの研究では診断的に境界型人格障害は分裂病と大うつ病の中間に位置するものであることが数量的解析で見いだされている。今回再びボーダーライン・スケールを使って境界型人格障害の症状内容を数量的にさらに詳細に分析するとともに臨床的経験を考慮しつつ境界型人格障害の下位分類の可能性を探ってみた。44人の境界型人格障害患者のデータの因子分析,クラスター分析に基づいて,2つの下位分類を見いだした。第1型は自己の感覚(sense of self)や自己の構造が脆弱なため分裂病に近い症状を一部呈する自己脆弱性優位型と考えた。第2型は絶望感や孤独感といったうつ病に近い症状が強くみられる抑うつ気分優位型と言えるものであった。この2つのタイプにはそれぞれ特有の心理療法および薬物療法の配慮が必要だと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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