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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻11号

1991年11月発行

研究と報告

自己啓発セミナーへの参加を契機に精神症状の発現をみた6症例

著者: 大西建1 山田和男2 長瀬泰子3 藤谷興一3 大久保善朗3 渥美義賢3 小島卓也3 融道男3

所属機関: 1茨城県立友部病院 2山本病院 3東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.1217 - P.1223

文献概要

 【抄録】 自己啓発セミナーへの参加を契機に精神症状を発現した6例を経験した。内訳は,心因反応が2例,反応性抑うつが1例,分裂病圏が3例であった。年齢は,5例が20代前半,1例が30歳であった。いずれもセミナー参加と時間的に近接した急性発症であった。情動面の不安定性が全例に共通しており,症状の内容面では,セミナーに関連したものが全例に認められた。症例がセミナーで経験した主観的状況から,①心理的・身体的に「逃げ」が許されない環境で,②感情を発露するよう反復して指示・操作を受け,③強力な内省と自己直面を強いられ,④「秘密」が集団の中で暴露され共有される。⑤セミナー終了後も他の参加者から心理的・社会的ストレスを受ける。⑥セミナーの体験と現実との齟齬がストレスになる,といった共通性が抽出できた。このような状況は,精神症状発現の契機になりうる。何らかの予防精神医学的対策が講じられる必要があると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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