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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻11号

1991年11月発行

文献概要

研究と報告

躁病者犯罪の行動特性—「早期活動型」と「活動延長型」

著者: 早川直実1 影山任佐2 榎本稔2

所属機関: 1八王子医療刑務所 2東京工業大学保健管理センター

ページ範囲:P.1225 - P.1230

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 【抄録】 1981年から1989年までの9年間の関東C地方検察庁管内におけるすべての起訴前精神鑑定例,いわゆる簡易鑑定例620例のうち,躁うつ病例について資料をまとめ,躁うつ病例の犯行時刻について検討を試みた。躁うつ病の9年間の鑑定総数は24名で,鑑定総数に占める割合は約3%である。
 犯行時刻について,躁状態とうつ状態とを比較すると,うつ状態での犯行時刻が比較的分散しているのに比べて,躁状態8名全例が,午前0時から正午までの間に犯行に着手していた。我々は,この午前0時から正午までの犯行について,前夜から就寝することなくなされた例を「活動延長型」(P type),いったん就寝し,覚醒してからなされた例を「早期活動型」(E type)と名づけ,分類したところ,「活動延長型」が3名,「早期活動型」が5名であった。「活動延長型」では,全例が自己の欲望を満たすために,無計画に犯行をなしており「早期活動型」では,全例が特定の人物に怨恨を抱き,報復目的の犯行をなしており,犯行形態に明らかに相違がみられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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