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「第2回精神科遺伝学世界会議」印象記
著者: 稲山靖弘1 米田博1
所属機関: 1大阪医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.1254 - P.1255
文献購入ページに移動 第2回精神科遺伝学世界会議は,ロンドン市内のRegent公園内にあるRegent Collegeにおいて1991年8月14日〜16日の3日間開催された。Regent公園は,ロンドンの中心部から地下鉄でわずか10分ほどとは思えない静かな所にあり,またこの時期のロンドンは最高気温が20℃そこそこと,大阪の連日の猛暑に苦しめられていた我々にとっては,まことに爽やかな気候であった。このようなすばらしい環境の中で熱気溢れる討議が進められた。参加者は30カ国約300人で,日本からは8名が参加した。演題数は,口演が85題,ボスターが59題であり,分裂病,感情障害を中心としたDNA研究が多く,従来からの集団遺伝学的研究,家系研究,双生児研究や細胞遺伝学的研究の報告もいくつかみられた。
ところで,前回,第1回の会議は,1989年にケンブリッジのChurchill Collegeで開催され,我々も参加した。この会議では,Egelandらによる感情障害と11番染色体短腕,Sherringtonらによる精神分裂病と5番染色体長腕のDNAマーカーとの連鎖が報告された直後ということもあって,発表は彼らの報告を追試するものがほとんどであった。しかしこの2年間で,Egelandらの報告は,Kelsoeらによって否定され,Sherringtonらの報告も追試はすべて連鎖が否定される結果となった。このような状況の中で,今回の会議では,連鎖研究の統計学的な検討や5番あるいは11番染色体以外の領域を対象とした研究,さらに相関や同胞対照法など従来の連鎖とは異なった研究など幅広い研究が報告されていた。またDNA研究の倫理的な側面を討議するセッションが設けられるなど,前回に比べると内容はさらに充実したものであった。
ところで,前回,第1回の会議は,1989年にケンブリッジのChurchill Collegeで開催され,我々も参加した。この会議では,Egelandらによる感情障害と11番染色体短腕,Sherringtonらによる精神分裂病と5番染色体長腕のDNAマーカーとの連鎖が報告された直後ということもあって,発表は彼らの報告を追試するものがほとんどであった。しかしこの2年間で,Egelandらの報告は,Kelsoeらによって否定され,Sherringtonらの報告も追試はすべて連鎖が否定される結果となった。このような状況の中で,今回の会議では,連鎖研究の統計学的な検討や5番あるいは11番染色体以外の領域を対象とした研究,さらに相関や同胞対照法など従来の連鎖とは異なった研究など幅広い研究が報告されていた。またDNA研究の倫理的な側面を討議するセッションが設けられるなど,前回に比べると内容はさらに充実したものであった。
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