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雑誌目次

論文

精神医学33巻12号

1991年12月発行

雑誌目次

巻頭言

セロトニンブームの仕掛人はだれか?—向精神薬開発への疑問

著者: 山脇成人

ページ範囲:P.1266 - P.1267

 セロトニンブームと聞いて,ピンとくる精神科医は読者の中でどのくらいおられるのだろうか。精神医学は裾野が広い学問なので,セロトニンという言葉になじみのない精神科医も少なくないであろう。
 1952年にDelayとDenikerがクロールプロマジンの精神分裂病患者に対する臨床効果を報告して以来,薬物療法は精神疾患の治療に大きく貢献してきた。この約40年間に抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬など数多くの向精神薬が開発され,臨床応用されてきたが,ご年輩の先生方の中には,クロールプロマジンやハロペリドールを越える抗精神病薬も,イミプラミンやアミトリプチリンなどの三環系を越える抗うつ薬も,またジアゼパムを越える抗不安薬もないと断言する人さえいる。事実これらの薬物は現在でも臨床現場で広く用いられており,淘汰される気配は感じられない。これらの向精神薬の薬理作用は近年の精神薬理学の進歩により,分子レベルまでかなり詳細に明らかにされつつある。こうした科学的根拠に基づいて改良,工夫されて開発されたはずの新薬にもかかわらず,古典的な薬剤を大きく上回ることができないのはどうしてであろうか。これまでのモノアミン系やGABA系を中心とした発想で新薬を開発していてよいのだろうかと疑問に思うことがある。

特集 不安の病理

「不安」とはなにか—不安の〈変質〉と境界

著者: 中村雄二郎

ページ範囲:P.1268 - P.1275

■はじめに
 「『不安』とはなにか」というテーマを本誌から与えられて最初に念頭に浮かんだのは,この機会に〈不安〉の変質と,不安と〈境界〉の関係について考えてみることであった。
 まず,不安の〈変質〉について言えば,かつて私は1930年代を扱った「三木清と不安の時代」というエッセーを書いたことがある一方,3年まえ(1988)に多木浩二氏と『終末への予感』(平凡社)という長編対話を行ったことがあり,そのときの二つの時期の間に〈不安〉の著しい変質を感じたからである。それを単純化して言えば,現在では不安も終末もかつての〈暗がりの風景〉ではなく,〈しらけた風景〉として表象されるようになったことである。なお,先に〈不安の変質〉と言ったが,それは,不安が果たして変質したかどうかという問題を含んでいる。

「不安」の精神医学—精神病理学,精神分析はどうとらえるか

著者: 鈴木國文

ページ範囲:P.1277 - P.1285

■はじめに
 不安という言葉はおそらく精神医学の中で最もよく用いられる言葉の一つであろう。この言葉は精神医学の隅々に根を張り,その臨床の随所で顔を出す。「不安ですか」あるいは「不安です」という言い方はここでは通りの良い通貨のようなものである。それだけにこの言葉は,いささか手垢にまみれたという観をぬぐえない。
 あるいはこうも言えるだろう。精神科は,いわゆる精神病からその裾野へと,不安によってその間口を広げてきたと。なぜなら,人が精神科を訪れるのは,他者によって連れてこられるのでなければ,たいていは彼自身に耐えきれないその不安のためだからである。このことは常識的には,その頻繁さという点で「症状としての不安の重要さ」を,他方,裾野という点で「不安と正常心理とのつながり」を示していると見ることもできるだろう。しかし,不安を「症状」としてとらえるか否か,さらには「正常心理」とのつながりをどう考えるか,この2点は,実は,不安に関する様々な理論の立場を分ける重要なポイントとなってきた。

パニック障害

著者: 高橋徹

ページ範囲:P.1287 - P.1291

■パニック障害―DSM-Ⅲ-R(1987)
 パニック障害は,DSM-Ⅲ-R(300.21,300.01)において次のように定義されている1)
 「その障害は,反復して起こるパニック発作をその本質的な特徴とする。すなわち,激しい恐怖ないし苦悶が時を画して生ずる。それには少なくとも4つ以上の特徴的な随伴症状がみられる(それらは後にあげる)。ただし,この障害の診断が下せるのは,その発作が器質性要因で引き起こされたものでもなく,しかもその要因が発作に関与しているとはいえない場合だけに限られる。パニック発作はふつう数分間続くが,稀に数時間に及ぶ。発作は少なくとも初発時には,予期されずに起こる。つまりこの発作は,ほとんどの場合,不安を引き起こすような状態にさらされたり直面したりする時に起こる発作(例えば単一恐怖の場合)とは違う。また,この発作は,人々の注目を浴びるような状況下で引き起こされるもの(例えば交際恐怖の場合)のように生ずるものでもない。「予期されずに」起こる,というこの発作の側面こそがこの障害の本質的な特徴の1つである。ただし,この障害は経過するうちに,後になって,ある種の状況がこの発作を持つことと結びつくことがある。自動車の運転中とか人混みの中にいる,などの状況がそれである。これらの状況下で(例えば単一恐怖のように)すぐさまこの発作が起こるわけではないが,発作が起こる可能性は強まり,また,そうした状況下では,発作を起こすのではないかという怖れが生ずる。しかし実際に発作が起こるのかまったく起こらないのかという点は,本人にも定かでない。

うつ病の不安

著者: 広瀬徹也

ページ範囲:P.1293 - P.1298

■はじめに
 うつ病の不安は患者にとってただでさえ耐えがたい抑うつ気分や抑制に加えて,決定的な苦痛を与える症状であり,最悪の場合は自殺と結びつく。
 理論的には不安と抑うつは対峠される関係にあるが,実際には複雑な組合せで重複して現れるのが臨床的現実である。それをめぐって様々な見解が示されてきたが,まだ最終的に解明されたといえる段階にない。
 不安と抑うつをめぐる長い論争の歴史12)の中で,この10年間ほど全世界的な規模で議論が闘わされたことはないかもしれない。DSM-Ⅲ2)(1980)による従来の不安神経症のパニック障害(PD)と全汎性不安障害(GAD)への分離に始まり,前者のうつ病の関連が種々な観点から明らかにされるにつれ,合併(comorbidity)という概念が他の精神疾患の間にも広がりつつある。本稿ではそのような流れを踏まえて,うつ病の不安について述べることにする。

精神分裂病の不安のありか

著者: 松本雅彦

ページ範囲:P.1299 - P.1306

 ■Ⅰ.
 精神分裂病に特異的な不安というものがあるのだろうか。それとも,不安とは精神分裂病を含むあらゆる人間存在の基底に遍在する情態性なのであろうか。
 分裂病の不安を推測させる手がかりを,我々はかつてFranz Kafka8)の小説に見いだそうとした。『掟の門』の,その門を入ることも,その門の前から立ち去ることもできず,ただ時だけが過ぎてゆく不条理。また『審判』『城』に読みうる,誰が,いかなる手続きを通して,「私」を法廷に,あるいは城のある町に導いてきたのか,そこで「私」は何をされるのか,また「私」は何をしたらよいのか分からない状況。そこには,ただ誰が発したか分からない「掟=禁止」と「命令」とだけがシニフィアンとしてあり,しかもそのシニフィアンは他のいかなるシニフィアンともつながりを持たない。それがいったい何を意味するのか分からないままに,「世界」と「私」はどこにも定位できないままに漂う。「命令」の使者に身分証明書(アイデンティティ・カード)を示しても,それらはなんら「私」のアイデンティティを保証してくれるものではない。「私」とは何か,それが分からなくなってゆく「異様さ」,「無気味さ」,「得体の知れなさ」。それとともに「世界」もまた「謎」に包まれてゆく。謎とは,文字どおり言葉が迷い,その定位するところを見いだせない事態を指す。

人格障害の不安:パーソナリティ傾向と不安

著者: 皆川邦直

ページ範囲:P.1307 - P.1312

■はじめに
 「人格障害の不安」について述べることになっているが,人格障害というと,異常人格,その一部としての精神病質が想起されるだろう。ところがパーソナリティ障害というと,精神病質とは異なる概念であると思われるか,あるいはなじみのない用語であって何のことか分からぬといった印象を抱かれるかもしれない。
 ところで,この表題を異常人格ないし精神病質と読み替え,さらに伝統的なドイツ精神医学を代表するSchneider, K. 4)の言葉を借りていうならば,異常体験反応に発展する精神病質人格について語ることになるであろう。すなわちそれは,「内的抗争反応は全く特定の人格,しかもほとんど常に敏感人格,自信欠乏人格に結びついている」5)ということになろうか。あるいは論議しようのない「基底」について触れることになるかもしれない。しかしそれでは「人格障害の不安」とは,いささか隔たりが大きくなりすぎるであろう。

不安とストレスの生理学

著者: 山下格

ページ範囲:P.1313 - P.1317

■はじめに
 不安は心身一如の現象である。我々はそれを日常の体験から知っている。
 激しい不安を感ずると同時に,胸がたかなり,息がつまり,冷汗がにじむ。不安を感ずるのが先か,胸の鼓動を感ずるのが先かは,問うのが無理であって,両者は同じ現象の両側面である。それは持続的な不安状態においても同様である。
 この関係を端的に示す1例は,DSM-Ⅲ-Rの診断基準4)であろう。例えば全般性不安障害のD項の18項目の症状は,以下のようである。運動性緊張:(1)身震い,攣縮,動揺する感じ,(2)筋肉の緊張,痛み,うずき,(3)落ち着きのなさ,(4)易疲労性。自律神経機能亢進:(5)呼吸困難,または息苦しい感じ,(6)心悸亢進,または脈拍の促迫(頻脈),(7)発汗,または冷たく湿った手,(8)口渇,(9)めまい,または頭のふらつく感じ,(10)嘔気,下痢,またはその他の腹部の苦痛,(11)紅潮(突発性の熱感),または冷感,(12)頻尿,(13)嚥下困難,または“咽喉の異物感”。警戒心:(14)緊張感や過敏,(15)過度の驚愕反応,(16)集中困難,または不安のために“心が空白となる”こと,(17)入眠困難や途中覚醒,(18)易刺激性。
 これらの身体的変化(ないし感覚)および警戒心は,A項の「非現実的で過度の心配(予期憂慮)が2つ以上の生活環境に関するもの」4)とともに,不安を診断する標識となっている。ほかにも意識されない身体的変化が,広範囲に生じていることは言うまでもない。
 本章の目的は,不安に伴うこれらの身体的変化を吟味し直し,その様相と由来を概観することである。

不安の脳生理学

著者: 前田久雄 ,   山田尚吾

ページ範囲:P.1319 - P.1326

■はじめに—不安と恐怖
 不安の脳生理学について述べようとする場合,その知見のほとんどは動物実験によって得られたものとなる。人間が主観的に感じる不安感,その際に観察される身体的,行動的表出などとのアナロジーを動物に求めることによって動物モデルとし,その中枢機序を探るという手続きによって不安の脳生理学なるものが成り立つことになる。
 アナロジーが求められるべき人間の不安についても,不安と恐怖との区別が必ずしも明確ではない。一般には,対象のない漠然とした恐れが不安であり,対象のあるものが恐怖であるとされているが,恐怖といわれるものの中にも不安としての要素がかなり混在しており,他方,予期不安といわれているものでは恐れの対象が存在していることになる。このような論議は他の章においてすでになされているとおりである。

不安の精神薬理

著者: 木内祐二 ,   融道男

ページ範囲:P.1327 - P.1333

■はじめに
 benzodiazepine(BZ)系抗不安薬が臨床に導入されて以来30年が経ち,現在では抗不安薬は精神科領域に限らず最も頻用される薬物の1つになった。不安,ストレス,あるいは疾患としての不安障害の生物学的研究は神経化学的検討が困難であったが,BZ系抗不安薬の登場と,BZの作用部位であるγ-アミノ酪酸(GABA)/BZレセプターの分子生物学的研究の成果と,5-HT系抗不安薬をはじめとする非BZ系抗不安薬の開発などにより不安の研究に新たな発展がみられた。不安の精神薬理に関するこうした最近の研究の動向をGABA,5-HT,noradrenaline(NA)神経系を中心にまとめてみたい。

研究と報告

軽症痴呆にみられる精神症状

著者: 内村大介 ,   三山吉夫

ページ範囲:P.1335 - P.1341

 【抄録】 軽症痴呆症の診断は,その治療と予後を考えるためにも重要である。軽症痴呆症には知的機能障害以外の精神症状を伴うことが少なくなく,痴呆症であるのか,その他の精神障害であるのか,その鑑別に苦慮することも多い。
 そこで,軽症痴呆症が疑われた症例の随伴精神症状を,知的機能検査成績,神経放射線学的検査成績,および臨床経過を含めて検討したところ,各種検査成績と随伴精神症状に相関関係は認められなかった。しかし,随伴精神症状の内容とその臨床経過において,ある特徴を認めた。すなわち,痴呆症の初期にみられる精神症状は,psycho-organic syndromeをその病態の基盤とし,痴呆症の経過とともにorganic syndromeに移行すると考えた。
 したがって,軽症痴呆症を疑う症例の随伴精神症状の正しい評価は,しいては痴呆症の正しい診断にもつながると考えた。

いわゆる登校拒否症の実体について—DSM-Ⅲ-R多軸診断システムの適用

著者: 宮本洋 ,   小泉準三

ページ範囲:P.1343 - P.1350

 【抄録】 いわゆる登校拒否児に対し,DSM-Ⅲ-Rの多軸診断システムを適用してその実体について検討した。その結果,本症は過剰不安障害,同一性障害,行為障害など様々な小児期・青年期の精神障害とみなされた。学歴社会に起因するストレスを心理的社会的ストレスとして評価して分析すると,同ストレスが高いと機能の全体的尺度(GAF尺度)が低く,過剰不安障害など小児期または青年期の不安障害などの割合が高くなり,逆に同ストレスが低いとGAF尺度はさほど低くはなく,性格障害など小児期や青年期に特定されないその他の障害の割合が高くなる傾向があった。DSM-Ⅲ-Rは我が国における登校拒否を取り扱う上で実情に合わないという批判もあるが,実際的な評価が可能であり,むしろ「登校拒否症」として一括して診断していることの問題点が示唆された。

手の傷跡を頻回に見つめる醜形恐怖症の1例

著者: 森岡洋史 ,   中川潔 ,   野間口光男 ,   寿幸治 ,   松本啓

ページ範囲:P.1351 - P.1356

 【抄録】 患者は,22歳の男性。中学3年生時,学校で同級生のある女生徒に手の凍瘡をからかわれたが,その夜,「傷にみせかけたらいい」と唐突に思いつき,凍瘡の部分を自らコンクリート壁にこすりつけた。しかし,その後患者は,傷を作ったことを非常に後悔して,傷が治癒してまったく目立たなくなった後も傷跡ばかりを見つめ,また,「傷ができたために他人から哀れに思われるのではないか」と恐れて傷跡を隠そうとする醜形恐怖症状が出現した。
 約4年間上記症状が続いたが,初めて職場の同僚に悩みを打ち明けたところ,「傷跡は気にするほどのものではない」と,一笑に付され,それを契機に他人から傷跡を見られることに対する恐れは急速に消失した。しかし,その後,傷跡を気にしたために楽しく過ごせなかった過去に対する後悔が出現し,そのために手の傷跡を頻回に見つめるという行為が持続した。
 このような,発病当初から患者に一貫して認められている手の傷跡を見つめる行為を通して,患者における傷跡の持つ意味を精神病理学的に考察した。

短報

恐慌性障害を呈したTurner症候群の1例

著者: 上野修一 ,   佐野輝 ,   岡田謙 ,   柿本泰男

ページ範囲:P.1357 - P.1359

 Turner症候群は,発生頻度が女児2,500〜10,000人に1人発生する3,11)といわれる性染色体がXO類縁の疾患である。Turner症候群においては精神症状を記載している報告は極めて少ない1,6,9,15)。また最近恐慌性障害について生物学的基盤に基づいた考察が進んでいる8)。今回我々は典型的恐慌性発作を伴った45XO型のTurner症候群の1例を経験し,臨床遺伝学や遺伝子連鎖研究を進める上でも興味深い症例と考えるので報告する。

せん妄を来したACTH単独欠損症の1例

著者: 柴田明彦 ,   山本健 ,   高岡健 ,   小出浩之 ,   若林慎一郎 ,   浅岡まさみ ,   村井敏博

ページ範囲:P.1361 - P.1363

 副腎皮質刺激ホルモンACTH分泌の選択的低下に基づき,全身倦怠感,低血糖,低血圧,食欲不振など副腎皮質機能低下症の臨床症状を示すACTH単独欠損症は,1954年にSteinbergら6)によって初めて報告され,本邦においても1969年熊原ら3)の報告に始まり,100例以上の報告がなされるに至っている。しかし,本例における精神症状の記載は少なく,主に内分泌疾患として身体的側面からの検討がなされてきた。今回我々は,ACTH単独欠損症の治療経過中に,せん妄を来した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

追悼

メダルト・ボス教授を偲んで

著者: 人見一彦

ページ範囲:P.1366 - P.1367

 現存在分析で有名なスイスのメダルト・ボス(Medard Boss)教授が,チューリッヒ近郊ツォリコンの自宅で,短い患いの後,昨年12月21日に亡くなられた。享年87歳であった。
 ボスは,1903年10月4日,スイスのサン・ガレンに生まれ,オイゲン・ブロイラーが活躍していたチューリッヒ大学を卒業後,パリ,ウィーン,ロンドンなどに学び,やがてチューリッヒ大学精神科ブルクヘルツリで助手になり,治療活動,精神療法に精力的に携わり,1947年に教授資格を取得し,1954年に教授の称号を得る。

動き

「第5回世界生物学的精神医学会議」印象記

著者: 西村健 ,   山内俊雄

ページ範囲:P.1368 - P.1369

 第5回世界生物学的精神医学会議は1991年6月9〜14日の期間,イタリアのフィレンツェで福田哲雄会長,Giorgio Racagni組織委員長のもとに開催された。今回はルネッサンスの都フィレンツェで,会議が催されたことが大きな魅力となって,約5,000人の参加者があり,日本からも約800人という多数が参加した。生物学的研究領域外の精神科医や外科,脳神経外科,産婦人科の人たちもかなり参加していて,それぞれの視点から生物学的精神医学への関心を示していたのが興味深かった。会場は鉄道のサンタ・マリア・ノベッラ駅に隣接した古い要塞(Fortezza da Basso)の跡に建てられた,立派な設備を備えた会議場が主会場となり,そのほかに道を隔てた庭園内にある2つの建物が使われた。街全体が博物館と言ってよいフィレンツェでは,歴史的景観を守るため,新しい建造物に対する厳しい規制があると聞いたが,主会場の建物も1階の面積を広くとり,低層に抑え,外壁を目立たない色にするなどの配慮がされていた。
 さて,会議は6月9日午後6時,開会式から始められた。まず,第5回世界会議組織委員長Racagniミラノ大学教授が歓迎の挨拶に立ち,イタリアの文化と芸術の中心地であるフィレンツェでの開催に至る経過の紹介ののち多数の演題と参加者を得たことに感謝の言葉を述べられた。

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精神医学 第33巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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