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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻12号

1991年12月発行

特集 不安の病理

「不安」とはなにか—不安の〈変質〉と境界

著者: 中村雄二郎1

所属機関: 1明治大学法学部

ページ範囲:P.1268 - P.1275

文献概要

■はじめに
 「『不安』とはなにか」というテーマを本誌から与えられて最初に念頭に浮かんだのは,この機会に〈不安〉の変質と,不安と〈境界〉の関係について考えてみることであった。
 まず,不安の〈変質〉について言えば,かつて私は1930年代を扱った「三木清と不安の時代」というエッセーを書いたことがある一方,3年まえ(1988)に多木浩二氏と『終末への予感』(平凡社)という長編対話を行ったことがあり,そのときの二つの時期の間に〈不安〉の著しい変質を感じたからである。それを単純化して言えば,現在では不安も終末もかつての〈暗がりの風景〉ではなく,〈しらけた風景〉として表象されるようになったことである。なお,先に〈不安の変質〉と言ったが,それは,不安が果たして変質したかどうかという問題を含んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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