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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻12号

1991年12月発行

特集 不安の病理

パニック障害

著者: 高橋徹1

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所

ページ範囲:P.1287 - P.1291

文献概要

■パニック障害―DSM-Ⅲ-R(1987)
 パニック障害は,DSM-Ⅲ-R(300.21,300.01)において次のように定義されている1)
 「その障害は,反復して起こるパニック発作をその本質的な特徴とする。すなわち,激しい恐怖ないし苦悶が時を画して生ずる。それには少なくとも4つ以上の特徴的な随伴症状がみられる(それらは後にあげる)。ただし,この障害の診断が下せるのは,その発作が器質性要因で引き起こされたものでもなく,しかもその要因が発作に関与しているとはいえない場合だけに限られる。パニック発作はふつう数分間続くが,稀に数時間に及ぶ。発作は少なくとも初発時には,予期されずに起こる。つまりこの発作は,ほとんどの場合,不安を引き起こすような状態にさらされたり直面したりする時に起こる発作(例えば単一恐怖の場合)とは違う。また,この発作は,人々の注目を浴びるような状況下で引き起こされるもの(例えば交際恐怖の場合)のように生ずるものでもない。「予期されずに」起こる,というこの発作の側面こそがこの障害の本質的な特徴の1つである。ただし,この障害は経過するうちに,後になって,ある種の状況がこの発作を持つことと結びつくことがある。自動車の運転中とか人混みの中にいる,などの状況がそれである。これらの状況下で(例えば単一恐怖のように)すぐさまこの発作が起こるわけではないが,発作が起こる可能性は強まり,また,そうした状況下では,発作を起こすのではないかという怖れが生ずる。しかし実際に発作が起こるのかまったく起こらないのかという点は,本人にも定かでない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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