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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻12号

1991年12月発行

文献概要

特集 不安の病理

うつ病の不安

著者: 広瀬徹也1

所属機関: 1帝京大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.1293 - P.1298

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■はじめに
 うつ病の不安は患者にとってただでさえ耐えがたい抑うつ気分や抑制に加えて,決定的な苦痛を与える症状であり,最悪の場合は自殺と結びつく。
 理論的には不安と抑うつは対峠される関係にあるが,実際には複雑な組合せで重複して現れるのが臨床的現実である。それをめぐって様々な見解が示されてきたが,まだ最終的に解明されたといえる段階にない。
 不安と抑うつをめぐる長い論争の歴史12)の中で,この10年間ほど全世界的な規模で議論が闘わされたことはないかもしれない。DSM-Ⅲ2)(1980)による従来の不安神経症のパニック障害(PD)と全汎性不安障害(GAD)への分離に始まり,前者のうつ病の関連が種々な観点から明らかにされるにつれ,合併(comorbidity)という概念が他の精神疾患の間にも広がりつつある。本稿ではそのような流れを踏まえて,うつ病の不安について述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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