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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻12号

1991年12月発行

文献概要

研究と報告

いわゆる登校拒否症の実体について—DSM-Ⅲ-R多軸診断システムの適用

著者: 宮本洋1 小泉準三2

所属機関: 1湯原病院 2筑波大学臨床医学系精神医学

ページ範囲:P.1343 - P.1350

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 【抄録】 いわゆる登校拒否児に対し,DSM-Ⅲ-Rの多軸診断システムを適用してその実体について検討した。その結果,本症は過剰不安障害,同一性障害,行為障害など様々な小児期・青年期の精神障害とみなされた。学歴社会に起因するストレスを心理的社会的ストレスとして評価して分析すると,同ストレスが高いと機能の全体的尺度(GAF尺度)が低く,過剰不安障害など小児期または青年期の不安障害などの割合が高くなり,逆に同ストレスが低いとGAF尺度はさほど低くはなく,性格障害など小児期や青年期に特定されないその他の障害の割合が高くなる傾向があった。DSM-Ⅲ-Rは我が国における登校拒否を取り扱う上で実情に合わないという批判もあるが,実際的な評価が可能であり,むしろ「登校拒否症」として一括して診断していることの問題点が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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