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特集 精神科領域におけるレセプター機能の研究の進歩
[指定討論]抗うつ薬長期投与後のラット大脳皮質グアニンヌクレオチド結合調節蛋白質—Gs,Gi/GoのADPリボシル化
著者: 朝倉幹雄1 塚本徹1 長田賢一1 長谷川和夫1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
ページ範囲:P.143 - P.145
文献購入ページに移動抗うつ薬における受容体と膜内共役物質による情報伝達系の分子生化学的機序は解明されていない。三環系抗うつ薬のdesipramineやimipramine慢性投与後にみられるラットの脳の生化学的変化として,ノルエピネフリン(NE)-βアドレナリン受容体-cyclic AMP情報伝達系では,脳のβ受容体の減少2)と,NE刺激によるアデニル酸シクラーゼ(AC)活性の低下が知られている5)。筆者らは慢性投与後もβ受容体を減少しないと報告されていた非定型抗うつ薬のmianserinとmaprotilineは,3日間投与6時間後には減少し,24時間後には回復していることを報告した1)。しかしmianserinやmaprotilineの場合,最終投与24時間後にβ受容体の減少はみられないがNE-AC活性は低下していることが報告されている3,4)。そこでこれらの事実から,β受容体とACの間の脱共役“uncoupling”が起こっていることが示唆された。脱共役の可能性として,1)β受容体-Gs間の脱共役,2)Gsα自体の量的または質的変化,3)GsαにおけるGDP-GTP交換反応の変化などが考えられる。本研究では抗うつ薬desipramineとmianserinを慢性投与後のラット大脳皮質膜標品のGsαをコレラ毒素,Giα(Goα)を百日咳毒素でADPリボシル化することによってGsとGiの量的変化を比較した。またADPリボシル化に影響する二価イオンとグアニンヌクレオチドの効果を比較して抗うつ薬慢性投与後のG蛋白に起こる生化学的変化および,ADPリボシル化によるGTP結合調節蛋白の定量の問題点を検討した。
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