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雑誌詳細

文献概要

特集 精神科領域におけるレセプター機能の研究の進歩

ヒト血小板におけるモノアミン受容体機能—うつ病血小板におけるモノアミン受容体刺激性細胞内カルシウム濃度の検討

著者: 加賀谷有行1 三国雅彦1 山本秀子1 黒田安計1 西川徹1 高橋清久1

所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第3部

ページ範囲:P.155 - P.160

 1960年代に降圧薬のレゼルピンによりうつ状態が引き起こされること,モノアミン酸化酵素阻害剤に抗うつ効果があることが明らかになり,躁うつ病のモノアミン欠乏仮説3,18)が提唱されるようになった。その後,うつ病者の髄液中の5-HIAAが低値であること,うつ病者死後脳のセロトニン含量が減少していること,抗うつ薬にアミン再取り込み阻害能やモノアミン酸化酵素阻害能があることよりセロトニン欠乏仮説が強く支持されるようになった。このように躁うつ病の生物学的成因として,中枢神経系のアミン伝達異常が想定され,それについての研究が,数多く行われてきたが,研究が進むにつれて,このセロトニン欠乏仮説に一致しない研究結果も少なからず報告されるようになった。
 その後,Aprison,Takahashiら1)により躁うつ病のセロトニン受容体過敏仮説が提唱されて以来,躁うつ病の生物学的研究の主流は,モノアミン,特にセロトニン受容体測定へと移り,現在も多くの研究が行われている。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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