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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻2号

1991年02月発行

研究と報告

「幼児奇胎妄想」から実子を殺害した精神分裂病者の1例—民俗精神医学的考察

著者: 滝口直彦1 小田晋2 佐藤親次2 妹尾栄一3

所属機関: 1八王子医療刑務所 2筑波大学社会医学系 3東京都精神医学総合研究所

ページ範囲:P.185 - P.190

文献概要

 【抄録】 「5歳の長女が妊娠し,長女は出産により死亡し,生まれてくる子供も奇怪異様な子供である」という妄想に基づいて実子殺を行った1症例を報告した。我々は,その妄想を幼児奇胎妄想と命名し,民俗精神医学的見地から,本妄想の成立の機転について考察した。その結果,一見きわめて奇異で正常者の心性とは隔絶されているように思われる本妄想が,日本人が普遍的に持っている古層心性とかなりの共通点を持つこと,しかしながらやはり,分裂病という事態によって歪曲が施されて古層心性が表出していることが明らかになった。そして,民俗精神医学的見地からの妄想研究が有益なものであることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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