文献詳細
研究と報告
文献概要
【抄録】 8例の文献例に1例の自験例を併せ,言語障害重積状態(status epilepticus of speech-disturbance:SESD)の特徴を,側頭葉てんかんと関連の深い失語発作群発状態(Kisker)と対比して総括した。その結果,語新作の多発,言語刺激による発作の誘発等を特徴とする後者の症例群に対して,軽度〜中等度の言語理解障害を伴う超皮質性感覚失語に類似する重篤な言語表出障害,手・顔に限局し,マーチを伴わない短時間の運動発作,高年齢発症,発作間歌期の脳波所見の乏しさ,複雑部分発作が合併しないといった特徴が抽出された。更に,運動発作が体の一部に限局していること,脳波所見は断続的でありながら,臨床所見としての言語障害は一定時間持続していたこと等から,興奮性の機序とともに,抑制性の機序がSESD発現に何らかの役割を果たしている可能性を示唆し,Princeらの焦点周囲過分極説と関連させてこれを論じた。
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