icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻3号

1991年03月発行

「精神医学」への手紙

Letter—『精神を病むということ』の書評について

著者: 岡田靖雄1

所属機関: 1精神科医療史研究会

ページ範囲:P.331 - P.331

文献概要

 秋元波留夫・上田敏両氏の対談をまとめた上記の本が,秋元氏の若々しい情熱の表出であるという点で,わたしは評者木村敏氏(本誌32;1376,1990)に同意する。また,秋元氏が精神医学史につき多くの挿話をもりこまれているその探究心に敬意を表するものである。だが,精神医学史に関する所説が,木村氏がいうような“学問的にも正確な内容”かという点には,深い疑問を感じている。かなり多くみられる不正確な記述から,いくつかあげよう。
 “精神病”の言葉の使用は明治以後である(25ページ)とあるが,この語は緒方洪庵訳『扶氏経験遺訓』に使用されている。『病の艸子』の原本はロンドン大英博物館に(32ページ)ではなくて,わが国にあり,大英博物館にあるのはその模本である。『精神病約説』の原本はモーズリの“Physiology and Pathology of the Mind”(44ページ)ではなく,“Insanity”である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら