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重症精神病の諸問題—いわゆる「処遇困難例」を中心に
著者: 道下忠蔵1
所属機関: 1石川県立高松病院
ページ範囲:P.340 - P.349
文献購入ページに移動■はじめに
昭和63年7月精神保健法が施行されてから,わが国の精神病院では病院の開放化や入院患者の社会復帰の促進が一段と加速されてきている。しかしこの流れのなかで高度の人格荒廃に著しい精神症状を伴い,長期入院せざるを得ない患者の問題や,昨年2月東京の公立精神病院で起こった入院患者同士の殺害事件,10月の名古屋市の民間精神病院に措置入院中の患者による国会議員傷害事件等が起こり,あらためて重症精神病患者の医療や保護のあり方に問題を投げ掛けているように思われる。
重症精神病については,症候論,疾病論,治療論等,視点によっていろいろな見方ができようが,本稿においては精神病院現場の者として入院患者の処遇という立場から論考することにしたい。たまたまこの課題に関連し,筆者はこの両3年,「精神科医療における他害と処遇困難性に関する研究」(厚生科学研究12))に関わったので,その研究結果等の紹介を中心に展望を試みたい。
昭和63年7月精神保健法が施行されてから,わが国の精神病院では病院の開放化や入院患者の社会復帰の促進が一段と加速されてきている。しかしこの流れのなかで高度の人格荒廃に著しい精神症状を伴い,長期入院せざるを得ない患者の問題や,昨年2月東京の公立精神病院で起こった入院患者同士の殺害事件,10月の名古屋市の民間精神病院に措置入院中の患者による国会議員傷害事件等が起こり,あらためて重症精神病患者の医療や保護のあり方に問題を投げ掛けているように思われる。
重症精神病については,症候論,疾病論,治療論等,視点によっていろいろな見方ができようが,本稿においては精神病院現場の者として入院患者の処遇という立場から論考することにしたい。たまたまこの課題に関連し,筆者はこの両3年,「精神科医療における他害と処遇困難性に関する研究」(厚生科学研究12))に関わったので,その研究結果等の紹介を中心に展望を試みたい。
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