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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻4号

1991年04月発行

研究と報告

前思春期周期性精神病の1症例—特に経過中の基礎体温の変動について

著者: 中山和彦1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.359 - P.365

文献概要

 【抄録】 初経の発来に至る以前に発症した14歳の前思春期周期性精神病の1例において,その経過中に測定した約5年間の基礎体温の変動と,月経関連ホルモンの継時変化を通して,その臨床症状と経過について検討した。
 病相は約30日の月周期で出現し,7から14日間持続した後,速やかに消失した。その病相期に一致して37℃前後の微熱傾向を示し,基礎体温上二相性変化となり,あたかも排卵性月経周期を思わせる変動を示した。また本症例は軽度の高プロラクチン血症を呈しており,そのためbromocriptineを2.5から5mg投与された。その結果高プロラクチンは改善され,引き続いて初経の発来に至った。またその後病相の発現も消失した。しかし月経はその後も無排卵性周期を示していた。一般にbromocriptineは性腺機能不全による悪循環を是正することで,精神症状を改善すると考えられているが,本症例では月経周期を通さず,直接本疾患の精神症状に作用していることが考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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