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研究と報告
一卵性双生児(女性)の両極性うつ病の不完全一致例
著者: 大橋正和1 坂井昭夫2
所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新津信愛病院
ページ範囲:P.373 - P.380
文献購入ページに移動疾病論的にみると,現象型としては両極性うつ病,単極性うつ病を呈しているが,両者ともに両極性うつ病の遺伝子型を共有し,単極性うつ病を両極性うつ病の不全型として把握するのが妥当と考えられ,先の大橋らの見解を支持する。両者の臨床像の違いは,本症例では発達史から生じた二人の性格構造の差異に由来する可能性が大きいと考えられた。
また本症例と大橋らの一卵性双生児の両極性うつ病の第1例目とを比較し,より生物学的に規定される所見と,より心理・社会学的に規定される所見が推定されうることをも述べた。このことは躁うつ病をbio-psycho-socialな疾患モデルとして包括的に捉える必要があることを示唆しており,この意味で本症例は躁うつ病の臨床遺伝学,疾病論および治療論に貢献すると考えられる。
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