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研究と報告
反応性うつ病における葛藤の行動論的分析
著者: 前田久雄1
所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.479 - P.485
文献購入ページに移動 【抄録】 葛藤が介在することによって発症したと思われる反応性うつ病の10例について報告し,葛藤の構造を行動論的立場から分析した。いずれの症例においても,各人に生きがいや自己実現を保証してくれるような重要な場において発生した葛藤に付随する形で抑うつが現れており,治療的介入による葛藤の軽減が抑うつの消失をもたらした。葛藤が完成したと思われる時点では強い不安(葛藤性不安)もみられ,その前後には心身症的な症状や解離・離人性,転換性の症状なども随伴することが多かった。葛藤の型としては,回避・接近が9例と多く,接近・接近も1例でみられた。これらの葛藤が,上記のような症状を呈するに至るためには,回避および接近の両欲求ともに,Maslowの欲求階層上,生理的,安全・安定,愛情といった深い水準にまで及んでいることが必要であると思われた。
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