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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻5号

1991年05月発行

文献概要

研究と報告

双極病の予防に関するリチウムとカルバマゼピンの相互作用

著者: 岸本朗1 小村文明2 福間悦夫3 柏木徹3 梅沢要一2

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科 2島根県立湖陵病院 3国立療養所鳥取病院

ページ範囲:P.495 - P.503

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 【抄録】 lithium(Li)とcarbamazepine(CBZ)の躁うつ病相予防効果に関する相互作用をみるために,LiとCBZそれぞれの単独療法と,LiとCBZ併用療法の計3療法を受けた18名の双極病者において,それらの3療法施行時における躁・うつ病相出現状況を比較した。LiとCBZ併用療法時には,LiあるいはCBZ単独療法時に比較して,単位期間当たりの入院頻度および躁・うつ病相期間の有意の減少がみられ,約半数の症例では併用療法期間における予防効果が最も優れていた。LiとCBZの各単独療法に共に反応するもので病相予防効果が最も増強した。併用療法中の血中Li濃度は,Li単独療法中のそれより有意に低く,特にCBZ単独療法に反応するものにおいて著明であった。併用療法中には単独療法時にはなかった新たな副作用は見出されなかった。以上の結果から,LiとCBZの併用療法は,Li,CBZの双方へ反応するものにおいて協力的に働き,その内容は相加的であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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