精神医学33巻5号

1991年05月発行

短報

Pimozideによると思われる急性肝炎重症型に罹患し，劇症肝炎に準ずる治療によって治癒した自閉症の1例

著者： 石川丹¹ 伝田健三²

所属機関： ¹市立札幌病院小児科 ²市立札幌病院付属静療院児童部

ページ範囲：P.521 - P.523

■はじめに
　自閉症の薬物療法にあたってpimozideはしばしば用いられる薬剤である。肝障害はほとんどないとされ，GOT，GPTの上昇をみた例は成人例では2,832人中1人（0.04％）のみ，小児例では330名中に1名もなかったという^1）。
　今般，我々はpimozideを内服させていた自閉症の1例において急速に進行悪化する肝障害を認めた。劇症肝炎に準ずる治療をした結果，良好な予後を得たので報告する。