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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻6号

1991年06月発行

文献概要

研究と報告

てんかんでの急性幻覚妄想状態の発現について—抗てんかん薬との関連

著者: 川崎淳1 扇谷明1 兼本浩祐1 河合逸雄1 井上有史2

所属機関: 1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター 2京都大学医学部精神科

ページ範囲:P.595 - P.600

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 【抄録】 分類診断が可能であった成人のてんかん患者1,207例のうち,当院での治療期間中に急性の幻覚妄想状態を発現した26例を抽出し,てんかん分類,精神症状発現時の投薬内容,発作頻度,脳波所見を検討した。てんかんにおける急性幻覚妄想状態の発現率は,全症例で2.2%,側頭葉てんかんでは7.3%と側頭葉てんかんで有意に高かった。側頭葉てんかんでの精神症状発現に関わる一因子として,抗てんかん薬との関連をみたところ,phenytoin(PHT)とzonisamide(ZNS)の関わりが重視された。精神症状はPHT単剤下で4例みられ,そのうち3例は,高い血中濃度で,発作が抑制されて出現した。このことから精神症状はPHTの直接的な副作用というよりも,患者の病態に変化を与えて発現するとみられた。ZNSでは,いずれも多剤併用下で,投与後間もなくに発現する傾向がみられた。しかし多剤併用下であったので,ZNSの副作用として精神症状が出現したのか,なお結論されない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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