研究と報告
抗てんかん薬服用患者における骨代謝異常の長期継時的研究—活性型ビタミンD投与前後におけるビタミンD三分画の変化を中心として
著者:
鈴木達也1
田中謙吉1
宮内利郎1
萩元浩1
斎藤庸男1
八木俊輔1
喜多村雄至1
山口哲顕1
山本裕1
所属機関:
1横浜市立大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.601 - P.608
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【抄録】 抗てんかん薬(AED)を10年以上服薬した77例(男41,女36)にマイクロデンシトメトリー法(MD法),血清カルシウム(Ca),リン(P),アルカリホスファターゼ(Alp)を測定し,MD法28例(36.4%),Ca 9例(11.7%),P 5例(6.5%),Alp 17例(22.1%)に異常を認めた。さらにMD法で骨異常を呈した9例に対し,活性型ビタミンD(1α-OHD3)を投与し,MD法,Ca,P,Alp,ビタミンD三分画について継時的に追跡した。1α-OHD3,投与前では,25-OHD32例(22.1%),24,25-(OH)2D37例(77.8%)が異常低値を示したが,1,25-(OH)2D3は全例正常範囲であった。投与後,Caは有意に上昇し,Alpおよび25-OHD3は有意に低下した。24,25-(OH)2D3はいったん上昇した後低下,一方1,25-(OH)2D3は24,25-(OH)2D3とほぼ逆の経過を示した。
AEDによる骨萎縮性病変に対し,投与薬剤,発症年齢,服薬期間などより検討を行うとともに,1α-OHD3投与前後のMD法,Ca,P,Alp,ビタミンD三分画の継時的変化から考察を加えた。